日本人の食事では、定食というスタイルが一番馴染みのあるものとして、多くの人に好まれています。定食というのは、文字通り定番の食事ということです。ご飯がごはん茶碗に盛られ、メインのおかずが皿に乗せられて出され、味噌汁が付いていて、香の物や小鉢などが添えられることもあります。おかずは、正式には主菜と呼ばれ、小鉢はこれに対して副菜と呼ばれ、味噌汁などは汁物と言います。このスタイルでは、ごはんや主菜、副菜、汁物などが同時に提供されるのが特徴となっています。これが西洋のコース料理や日本の会席料理では、オードブルや先付けにはじまり、スープや椀物へと移り、メイン料理が出て、デザートや水菓子で締めるといった料理提供の順番があります。そのため、出された料理はその場で食べていき、ほかの料理を食べた後で、また戻って楽しむということはできません。定食には、食べる順番が決まっているわけではありませんが、ご飯を食べた後に汁物を口にし、おかずを食べてご飯をまた食べるといった、ご飯中心の食事の仕方が考えられています。そうすることで、どんなおかずもおいしく食べられるということです。さらには、栄養バランスや見た目の美しさも取り入れられ、飽きのこないものにしてあるのです。和食は、この度、ユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、健康を考えた栄養バランスのいい食事といったことが、その登録認証の理由の一つとされています。
ところで、いわゆるご飯屋さんと呼ばれる日本の料理店には、ほとんどの場合、何かしらの定食が用意されています。その中で、メニューの数として一番多いのは、魚をメインにしたおかずの食事でしょう。刺身、焼き魚、煮魚と、料理の種類もさまざま。刺身については、まず人気のマグロがあり、続いてタイ、イサキの刺身といった具合に、種類の数と同じ数の定食があるようにも思えます。いろいろな魚を楽しみたいという欲張りな人には、刺身三点盛り合わせといったものもあります。また、焼き魚についても、まず人気のサバやアジの塩焼きがあり、ブリの照り焼きやサワラの味噌焼きなど、少し手を加えたものを出すところが数多くあります。さらには、煮魚に関しても、キンメや赤魚の煮付けがあり、サバの味噌煮やイワシの醤油煮などが好まれるなど、枚挙のいとまがありません。
魚料理をメインのおかずにした定食が多いのは、日本の暮らしの中にしっかり定着しているからです。男の子の端午の節句にはこいのぼりが掲げられ、お祝いの席にはタイが添えらます。もともと日本人とは文化的に切っても切れない関係にあるからなのです。